2022-01-25

ジャストレングスとカットオフ|リーバイスの裾の考察

ジーンズの裾を、鋏で切っただけで、三つ巻き縫いをしていないジーンズは、カットオフジーンズ。

切りっぱなしで、裾がフリンジ状態になっているジーンズのこと。

作り方は、簡単です。

お好みの長さで裾を、鋏でカット。もともとの裾と並行になるように鋏を入れると失敗がありません。

カットしたジーンズを、そのまま洗濯機で洗います。すると、デニムの織りが解けて、緯糸(=横糸=薄いベージュ色の糸)が、ボソボソ出てきます。

ジーンズが乾いたら、デニムの経糸(=縦糸=インディゴ色の糸)を切らないように、ボソボソ抜け出てきたデニムの緯糸(=横糸=薄いベージュ色の糸)だけをハサミでカットします。

経糸を切ってしまわないように指で避けながら、緯糸だけを切ります。

これでカットオフジーンズの完成です。

経糸(縦糸)だけが残ってフリンジになっているカットオフジーンズの裾

なんで、カットオフにしないといけないのか。

理由は、人それぞれだけど、自分にとっては、長すぎるジーンズを、裾上げ(丈詰め)した時に、裾のアタリと呼ばれる凸凹がなくなってしまったジーンズを穿くのがイヤだから。

ジーンズ好きにとっては、絶対必要なのは「裾のアタリ」。アタリのない裾上げされたジーンズを穿くのは見え方的に、ちょっと難しいので、カットオフの方が良いかなと。

写真は、自然に穿いて家庭洗濯して裾のアタリが出た、リーバイスのジーンズ。

そもそも、リーバイスのジーンズは、裾の三つ巻きは、金茶色(もしくはイエロー)のステッチで縫われているから、裾から1cmくらいのところに、1本のコントラストのステッチが入ります。

裾の三つ巻きは、コントラストの効いたイエローのステッチ。

裾の金茶のステッチは、穿き込んでいくと、コントラストの度合いが小さくなるが、存在感は変わらず。

裾のアタリが出来上がっているジーンズを、裾上げするのはタブー。だから、カットオフ。

ジーンズの裾のアタリがなくなってしまうのは、とても残念なこと。

自然に穿いた本物のユーズドジーンズでも、ジーンズのランドリー工場で芸術的に作られた新品の状態で完成されたユーズドジーンズであっても、裾の凸凹の白い部分と青い部分がなくなってしまうのは、とても見栄えが悪い。

裾のアタリがあるのとないのでは、大きな違い。

しかも、裾のアタリが出来上がっているジーンズを裾上げした後に、自分でどんなに穿いて、家庭洗濯しても、ハッキリとした強いアタリは出来上がらない。

お店で売っている、裾のアタリができているジーンズは、裾上げしてしまうと、凸凹がなくなってしまう。
家庭で洗濯を繰り返してもアタリがハッキリ出ない。
理由は、デニム生地は、一番最初に水を通して乾燥させた時に一番縮むという特性のため。
左の濃い色のジーンズは、ジーンズのランドリーで、洗いと乾燥を済ませ、デニム生地が縮んでいる状態。デニム業界で言うところのリンス(ウオッシュ)。

同じお店に売っているジーンズでも、写真左の裾に凸凹ができていない、デニム業界で言うところのリジットなら、裾上げをしてから家庭洗濯するだけで十分アタリが出る。
けれど、ジーンズの縮率が(洗いと乾燥した後にリジットが何%縮むかが)、お店の人でも99%わからないので、リジットを裾上げする長さがわからないと言う困った状態に。

しかし、裾のアタリがなくなるからという理由だけで、カットオフにするんじゃないんです。

靴の雰囲気に合わせると言うファッション的な理由で、カットオフにするのは楽しい。

リーバイスのコントラストステッチが、靴に合わないという、ファッション的な理由で、カットオフにする場合があります。

それは、長さを合わせると言う理由もあるけど、靴の雰囲気に合わせると言う理由で、リーバイスのジーンズをカットオフにすることは、とても良い選択です。

代表例は、Clarksのデザートブーツ

リーバイスの裾のたった1本のコントラストステッチが、似合わないから。もっと言うと、クラークスのデザートブーツには、裾のアタリの凸凹すら邪魔になる。ステッチ部部のコントラストと、アタリ部分の白と青のコントラストが、靴の出自と雰囲気に合っていない。

Clarksのデザートブーツと、Levi’sのジャストレングジーンズ。金茶ステッチとアタリが、デザートブーツの紳士的な雰囲気に合わない。Clarksのデザートブーツは、きっと、紳士的なのだと。裾の凸凹すら許さない。

だからカットオフ。

Clarksのデザートブーツと、Levi’sのカットオフジーンズ。金茶ステッチとアタリが消えると、泥臭さが消えて、スマートな印象に。

ぜひ、Clarksのデザートブーツをお持ちでしたら、試してみてください。なんだかしっくりこない理由が見て取れると思います。

リーバイスのジーンズをカットオフにする理由のまとめ

・アタリの出たジーンズの裾を丈詰めするのは、見栄え的にお勧めしない。

・ジーンズの見え方には、裾のアタリの存在が不可欠。

・だけど、裾のコントラストステッチが、靴の出自やテイストに合わない場合は、カットオフがお勧め。

・裾のアタリが邪魔になっている場合もある。

という気づきがありました。

あとがき

デニム生地が、着用中や洗濯機の中で擦れて、部分的にインディゴが剥げ落ちて白く見える部分がアタリ。

英語でもATARIと翻訳されるほどで、日本以外の国でも、ジーンズマニアが注目するなポイントです。

もちろん、裾だけにアタリが出るわけではなく、ジーンズ全体にできます。

みなさんも、ぜひ、日々のジーンズの変化に着目してみてください。

そして、アタリの育ち方によって(見え方によって)、コーディネートできるトップスや靴が、どのように変わっていくのかを楽しんでください。

カットオフの関連ブログ

2023/10/30追記

ジーンズを裾上げしたら、裾の凹凸がなくなってしまって、『いかにも、裾上げしました!』という、残念なジーンズになってしまった経験はありませんか?

ジーンズのコーディネートにとって、特に大事な事は、ジーンズの裾に凹凸があること。この凹凸が有ると無いでは、コーディネートの見栄えが大きく左右します。

ジーンズのコーディネートのコツは、不自然さを極力減らす事が大事です。

裾に、凹凸もしくは、凹凸が所々白くなっている部分があることによって、靴下、および靴との合わせの不自然さをを解消してくれるからです。

不自然さとは、言い換えるなら、『なじみ感』の無いコーディネート。

凹凸や白い部分が、ジーンズの平面さと靴の「ボリューム度合いの境目」をジョイントすることによって、なじみ感が生まれます。

だから、裾の凹凸は、コーディネートを完成させる上で、とても重要な役割を果たしているのです。

カットオフしなくても、ジャストレングスで穿けるジーンズ

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