2021-09-04

裾のアタリはチェーンステッチだからとかユニオンスペシャルだから出るという理解はちょっと違う

一般的にお店で売られているジーンズの裾上げをして穿いても、十分な縮みが発生しないので、裾の凹凸はできません。いかにも裾上げしましたという状態のままです。

ジーンズの雑誌などでよく言われている、チェーンステッチだからとか、ユニオンスペシャルというミシンを使ったらアタリと呼ばれる凹凸が出るというのは正しい理解ではありません。

リジット(生)の状態じゃない、一度水を通したジーンズの裾上げで、アタリが出るのは、裾のミツマキをする時に使用するラッパと呼ばれるアタッチメントを、デニム生地が捻れた状態で通過するために凸凹ができる場合や、ミツマキを縫うときの、ミシンの抑え側と送り歯側の送りの差が影響している場合が多いのです。さらに、ミシンの糸調子も関係します。通常の綺麗に縫えている状態よりも、糸調子を強めにセットすることで、デニム生地の攣れが発生して凹凸ができやすくなります。これは、ユニオンスペシャルというミシンじゃなくても、JUKIでもBrotherでもできます。

あくまで、アタリと呼ばれる裾の凹凸は、デニム生地の綾目方向への捻れと、デニム生地の縮み、縫製時の糸のテンションが強いことによる攣れ、ミシンの針下を通過する時の送りの上下差によるもの。という言い方が正解です。

なので、防縮加工やねじれ防止加工をしていない生機の状態が、一番ねじれて凹凸ができます。

その対極にあるのが、ユーズドウオッシュジーンズです。工場で何度も洗いと乾燥の工程を繰り返した後のジーンズを裾上げしても、裾のアタリは出ません。

ちなみに、生機はリジットジーンズとは違います。お間違えのないように。生機は、デニム生地が織り上がってから行われる、スキュー(ねじれ防止加工)と、サンフォライズ(防縮加工)と、毛焼き加工をかける前の状態を指します。リジットジーンズは、生機の状態のデニムを使って縫おうと、生機を防縮やねじれ防止の加工を行なったデニムで縫おうと、リジットジーンズと呼ばれます。また「生機を使ったジーンズ」は、ほとんどのメーカーで生産出荷されていません。生機は、洗った後の「顔」が、現代のジーンズマーケットでは支持されない、シボやイライラと呼ばれるものが多く出過ぎるからです。

関連記事