



共恵倉庫時代から、長くお付き合いくださっている高橋さん。ニッポン放送やクラブキング、湘南エリアだったらFM小田原、FM鎌倉といった音楽シーンでずっと活躍されて来ています。それにしてもDJって本当に話が上手いなあ……見習いたい。会う度に、感心してしまいます。ずっと、聴いていたくなります。取材させて貰ったお店は、美味しいコーヒーを飲ませてくれる旅花さん。この界隈のチーム二宮には、もう長く仲良くさせて貰っていて、本当に有り難いです。
━━まずは高橋さんがジーンズを穿かれる理由を。
「ジーンズってやっぱり丈夫じゃないですか。現場って何でもやるので。DJさんの中には凄くお洒落されてくる方もいます。でも僕ら、イベント仕切る人間はやっぱり動き回るじゃないですか。やっぱりジーンズって、強い味方」
━━何と、ご紹介したら良いですか?肩書きと言うか。
「肩書きとしては、選曲家を名乗っています。80年代に立ち上げられた、日本音楽選曲家協会(音選協)というのがあるんですよ。それは何かって言うと、例えば建築家とか「〇〇家」って付く職業がある中で、選曲業というのが、まだ一段下に見られていた時代があったわけです。そうした中で、選曲業の地位の格上げをしよう、という。そういう意識のもと、作られた団体だったと。その末席に、僕も加えて頂いています」
━━なるほど、日本音楽選曲家協会というのがあるんですね。
「選曲は、アートだから」
━━名言、出ました。
「自分は今までそういうの、表に出すのが嫌なタイプだったんですけれど、やっぱり言わないと、皆通り過ぎちゃうよねって。どう(曲を)かけるか?というのは技術、そしてセンス。じゃあセンスって?最近、『センスを定義しよう』って果敢な試みの哲学者の千葉雅也さんっているんですけど。その人の本を読んでいて、面白くて。なかなか『センス』って、立ち入れない所じゃないですか。難しいのだけど、でもやはりそこに確かに『あるか、ないか』って処じゃないですか。それを『定義しよう』っていう、すごく面白い本でした。だから、(選曲も)誰でも出来る事じゃないですか。曲持ってきて、『かける』って自体は。でもその曲自体を、『どう活かすか』となったら、やっぱり技術が必要になってくるし」
━━センス!確かに、あります。
「ちなみに、僕の友達。スタイリストをやっていた事もあるし、とにかくセンスのいい男なんですよ、めちゃくちゃ。ファッションにもちろん造詣が深いんだけれども(タッチイズラブジーンズを)穿いてたら、すっごく褒めてたの。『ばっちりだね、コレ。仕立てもばっちりだし、こことか』と、とにかく色んなとこ褒めてたの」
━━嬉しいです。それは、生地のお陰はもちろん、仕事で頻繁に穿いてくださっているから、かっこ良く仕上がってくるので。
「サウンドとジーンズは多分、『遠目で見る』という観点で似ていると思います。音楽も、歌詞とかプレイとか自体ではなくこう、全体が醸し出している『アウラ』です」
━━なるほど。
「人自体も、同じもの(ジーンズを)穿いても、違う風になるというのは、やはりその人自体が持っている『哲学』みたいなものが、アウラとして、こう5メーター離れた処からでも、なんか判る。ということなんでしょうね。埋没しない、と言うか」
選曲家の語る哲学。センスという単語は僕らもよく使いますが、高橋さんのお陰でスッキリとした心の箇所がありました。あーもっとずっと、聴いていたかった。ありがとうございました。
※4枚目の写真は高橋さんからお借りしました。